GDO NEXT ~ゴルフの楽しい!をつぎつぎと~

インタビュー #21 ビル・クーアのコース設計哲学

2015.09.29

 

1958年に設立され、「日本オープン」をはじめとする数多くのトーナメント開催コースとして知られる「横浜カントリークラブ」は、歴史と伝統に甘んずることなく、いまもなお、進化を続けている。改修中の「西コース」の仮オープンを11月に控え、コース設計を手がけるビル・クーアにインタビューをした。

 

Photo and Interview by Yasuko Mukai


 

コンセプト

 

ビル・クーア氏は、この2年間で15回ほど来日し、1回につき1週間前後滞在して、「横浜カントリークラブ西コース」の改修作業に立ち会っている。今回、キャリア初の日本のコース改修を手がけることになったきっかけを聞いてみた。

 

「『横浜カントリークラブ西コース』を一目見たときから、谷、丘、尾根などの土地の形状や、草木が織り成す景観のすべてが気に入りました。日本の土地は狭く、丘陵地が多いので、フラットなコースが評価されがちです。この場所は、フラットではありませんが、激しいアップダウンでもなく、グリーンから次のホールのインターバルが近い完璧な地形です。だから、おもしろい仕掛けを少し付け加えれば、ゴルファーをもっと楽しませることができるのでは、と思ったのがきっかけです。以前のコースが思い出せないようにはしたくないし、みんなが親しみを持てるレイアウトがいいですね。我々が、日本で手がける唯一のコースになるかもしれないので、思いっきり楽しみながら、仕事に取り組んでいます」 

 

具体的にはどのような仕掛けを加えたのだろう。

 

「ティーボックスをいくつか加えて、それぞれの技量に応じた距離の設定を可能にしました。若くて力のあるゴルファーは後ろから、力のない人や子供は前からプレーができます。ゴルフを楽しむためには、オプションがたくさんあったほうがいいですからね」

 

「人々の印象に残るような、ユニークさを意識しすぎると、難しい設計に偏りすぎることがあります。ドラマチックなバンカーは、芸術的でおもしろいとは思いますが、革新的なものを追い求めるあまり、限界を超えてはいけません。ゴルファーの“快適ゾーン”を超えないように、バランスをとるのが難しいですね」

 

 

アメリカと日本の違い

 

「世界中の、どのコースをデザインしても、基本的な考え方は変わりません。ドラマチックでダイナミックな改造ではなく、細かい作業の積み重ねが大切です。ゴルファーの経験と知識を引き出すコースを設計することで、本当のゴルフのおもしろさを味わってもらいたいと考えています」

 

「日本文化の魅力はたくさんありますが、着るもの、料理、住居をはじめとする“繊細さ”こそが、特徴だといえます。地道に、詳細まで突き詰めて注力しつづけるのが我々の仕事ですから、日本ではいままで以上に評価され、報われるかもしれませんね(笑)」

 

 

ゴルフコースは難しくなりすぎた

 

「いま、ゴルフ業界が抱えている問題の1つは、ゴルフコースがレベルの高いプレーヤーのために設計され、距離が長くなり、難しくなりすぎたことです。ゴルフはどんなレベルのプレーヤーにとっても楽しくあるべきです。最近では、“コースをもっと長くしたい” “もっと戦略性を高めたい”と相談されることがありますが、私はこう問い返します。“ゴルファーがゴルフコースにくる理由はなんだと思いますか?”」

 

「ショットが上手くいかずにイライラして、ため息をつくためにゴルフコースに来る人はいないでしょう。ボクシングのリングではないので、打ちのめされるためでもありません。しかし、すべてのホールが、まるで戦場のように難しいコースがあるのが現状です」

 

 

コースデザインの哲学

 

「コース設計でもっとも大切なのは“ゴルファーを楽しませる” こと。コースレイアウトに細かい設定を加えると、初心者から上級者まで、ゴルフをもっとおもしろくさせることができます。どんなレベルのゴルファーでもチャンスがありながらも、上級者が素晴らしい技を発揮できるコースであるべきです」

 

「いいコースデザインの定義は、世界中のどこにあろうとも、ほかに代わりがない唯一の存在であること。それは、何にも頼らずに、自分の心のなかにある”強い信念=アイデンティティ”から生み出されるものです。そのようなデザインをするには、たくさん勉強をして、世界の本物と言われる素晴らしいコースを実際に見て、知識を豊富にすることが大切です。でも、もっとも大切なことは、実際に手を動かして自分でつくってみること。それが経験となって積み重なり、自信につながっていきます」

 

「日本を象徴し、日本の素晴らしさを感じられるコースにしたい――」

 

晴れ渡った横浜の空を見上げながら、優しい笑顔で語るビル・クーア氏。「横浜カントリークラブ西コース」が、どのように新しく生まれ変わるのか、いまから楽しみで待ちきれない。

 


ビル・クーア/Bill Coore

 

オレゴン州の「バンドントレイルズ」や、フロリダ州の「ストリームソング レッドコース」など、ゴルファーなら人生で一度はプレーしてみたい憧れのコースの設計に数多く携わる。中でも、2012年に改修したノースカロライナ州の「パインハーストNo.2」は、昨年、史上初めて「全米オープン」と「全米女子オープン」の同会場連続開催で話題を集めた。

 

クラシックなデザインと、自然の地形を生かしたデザインを得意とするビル・クーアと、マスターズ優勝2回を含む米ツアー19勝を果たした、PGAプロゴルファーのベン・クレンショー。彼らが共同で設立した「クーア&クレンショー」は、米国を代表する設計事務所の1つである。

 

ビル・クーア氏インタビュー動画>>

 

クーア&クレンショーホームページはコチラ>>


Special Thanks

横浜カントリークラブ/Yokohama Country Club


 

 

 


GDO NEXTって、どんなサイト?>>

ゴルフの楽しさを全てのゴルファーへ提供する、ゴルフダイジェストオンライン(GDO)が運営するファンサイトです。

GDO NEXTへの読者登録はこちらから>>

<登録メリット>

●新しいゴルフの楽しみ方やプロゴルファーへのインタビューを楽しむことができる!

●豪華景品や他では手に入らないGDOオリジナルグッズをGETできる!

●国内外のリゾートゴルフを体験できるアンバサダープログラムに参加できる!


 

関連する記事

ページTOPへ

キャンセル

キャンセル